昨今の仮想通貨市場低迷によって、ついに存続が危ぶまれるコインが出始めました。
2016年に大規模なハッキング事件をきっかけにハードフォークしたイーサリアム(ETH)ですが、元となるイーサリアム(ETH)の仕組みを維持し、開発を続けられていたのが「イーサリアムクラシック(ETC)」です。
現在私たちが「イーサリアム(ETH)」として取引しているコインはハードフォークにより分裂した方のコインというわけですね。
そして「イーサリアムクラシック(ETC)」の開発を続けていたのが「ETCDEV」という運営元です。
「ETCDEV」は2018年12月4日、ツイッターにて”イーサリアムクラシックの運営を停止する”旨の発表を行いました。
そこで今回は、イーサリアムのハードフォークとその原因などをおさらいしながら、イーサリアムクラシック(ETC)とはどういったコインなのか、そしてイーサリアムクラシック(ETC)の開発企業が閉鎖する理由を紹介します。
今後の仮想通貨市場においても大きなインパクトを持つ出来事ですので、知識として確認しておきましょう。
※「THE DAO事件」についての流れにも触れていますが、出来るだけ分かりやすく表現するため、語弊を招く記述があるかも知れませんが、あくまでもイメージとしてとらえてください。
イーサリアムクラシックのおさらい

まずは、イーサリアムクラシック(ETC)の成り立ちからおさらいをしておきましょう。
現在私たちが仮想通貨取引において“イーサリアム(ETH)“と呼んでいるコインは、イーサリアムクラシック(ETC)が持つ歴史をフォーク(分岐)させることで新しく作られたコインであり、元々2つは同じチェーン(連続性のある台帳)でした。
しかし、ハードフォークを行う前のイーサリアム(正確にはThe DAO)は大規模なハッキング被害を受けてしまったのです。
その事件が、今もなお語り継がれる「The DAO事件」です。
※ハードフォークについては「暗号資産(仮想通貨)用語「ハードフォーク 」と「ソフトフォーク」の違いとは!?」で分かりやすく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
▼イーサリアムのハードフォークと「The DAO事件」
現在のイーサリアムクラシック(ETC)とイーサリアム(ETH)は、元々一つの“イーサリアム”というコインでした。
2016年6月、このイーサリアムは大規模なハッキング被害により約360万ETH(当時の価格で52億円相当)が盗まれ、大混乱を巻き起こしたのです。
これがハッキング被害市場にも未だに語られる「THE DAO(ザ・ダオ)事件」です。
The DAOとは
「The DAO」とは“非中央集権の投資ファンド”を行うプロジェクトであり、それを促進する組織です。
The DAOは、このプロジェクトのためにICOを行い、28日間という短期間で約1207ETHの調達に成功するほど期待されていたプロジェクトでした。
ICOといえば、もちろん独自トークンが発行されるのですが、The DAOが発行した独自トークンは「DAO」というものです。The DAOに投資をした人には、この「DAO」が発行されました。
The DAOは投資ファンドですから、DAOを保有している人であれば、投資先を提案したり管理したりといった権利も付与されるわけですね。
「THE DAO事件」の概要
DAOを保有する人たちみんなで投資先などを決める非中央集権の投資ファンドであるThe DAOには、様々な仕組みが搭載されていましたが、その中に「Split機能」というものがありました。
これは、保有している独自トークンの「DAO」を、イーサリアム(ETH)へ換金するという機能で、例えばThe DAOのアドレスから自身のウォレットへ資金移動させる際や、The DAOへの出資をやめたいという時などに利用される機能です。移動させた資金は、移動から28日後にイーサリアム(ETH)として出金する事ができる、というルールもありました。
素晴らしい仕組みによる新しい投資ファンドとして注目されていたThe DAOですが、やはり完璧なプログラムというものはなかなか存在しません。
クラッカー(悪意あるハッカー)は、このThe DAOの仕組みにある脆弱性を見逃さなかったのです。
クラッカー(悪意あるハッカー)はまず、Split機能でDAOのアドレスに持っている自身の資産を、28日後にイーサリアム(ETH)で出金するためのアドレスへ移動させます。ここまでは普通の行為ですね。
しかし、ここでクラッカー(悪意あるハッカー)が行ったのは「資金移動中のDAOのアドレスに次々と報酬を送金」したのです。
DAOのアドレスにある資金が、イーサリアム(ETH)で出金する用のアドレスへの送金が終わる前に、大元のDAOのアドレスに次々と資金を入れたわけです。
なぜなら、このSplit機能による送金プログラム(スマートコントラクトで作られている)にこそ脆弱性があり、DAOのアドレスに資金がある限り“送金し続ける”というプログラムになっていました。
送金元となるDAOのアドレスの資金がゼロになる前に、さらなる資金を入れることで、資産を送金させ続けるという、椀子そば状態を作り出したわけですね。
この脆弱性を利用した結果、The DAOの資金から360万ETHを盗む事に成功しました。
Split機能の28日ルールと苦渋の決断「ハードフォーク」
この事態を受け、盗まれた資産に対する対策の検討が始まります。
幸い、Split機能では送金した資産を出金するには28日間待たなければならないというルールがありましたので、多少の時間はあったわけです。
対策としては、クラッキング(悪意あるハッキング)に使われたアドレスを無効にするというものもありましたが、それを実行すると資産は全て失われ、盗まれた投資家たちの資産も失われてしまいます。
そこで出された案が「盗まれた事を記録上から抹消する」というモノです。
暗号資産(仮想通貨)は全ての取引(送金含む)をブロックチェーン上に記録していますよね。
当然、DAOの送金もブロックチェーン上に記録されているわけです。
この記録を無かった事にする、簡単に言うと“記録を巻き戻す”という措置であり、これを可能にするのが「ハードフォーク 」だったのです。
この決断は「全ての記録はブロックチェーンに記録される」という、ブロックチェーン技術の信頼性を覆す事になってしまうという批判も相次ぎました。
しかし、これが最善の対処となり、元のイーサリアム(ETH)はハードフォークを決行する事になったのです。
ハードフォークに伴う新たなコイン「イーサリアムクラシック(ETC)」の誕生
ハッキング被害の対処としてハードフォークを行い、被害の無かった正しいイーサリアム(ETH)として動き出したイーサリアム(ETH)ですが、やはりブロックチェーン技術の信頼性の根本を覆すというハードフォークに対して違和感を拭えない人たちも当然存在します。
そして、ハードフォークという対処を良しとしない人たちは、ハードフォークをしなかった“本線”となるブロックチェーンにてイーサリアム(ETH)の開発を続ける事にしました。
この、ハードフォークをしなかった“本線”であるブロックチェーンを維持していたイーサリアムこそ「イーサリアムクラシック(ETC)」であり、その開発企業が「ETCDEV」なのです。
▼The DAO事件は「イーサリアム(ETH)やスマートコントラクトの欠陥では無い」

この事件において、1点注意しておく事があります。
「THE DAO事件」をインターネットで調べていると、イーサリアムやスマートコントラクトの仕組み自体に欠陥があったと捉えてしまう表現が見受けられますが、それは間違いです。
脆弱性の本質は、スマートコントラクトを利用してThe DAOが開発した「The DAOのプログラミングコードの欠陥」なのです。
ですので、イーサリアムが大規模なハッキング被害に遭ったという表現では誤解を招く恐れがあります。
これまでに起こったハッキング被害での誤解を招く報道を思い出すと、その違いを認識出来るのではないでしょうか。
- Mt. Gox(マウントゴックス)事件:ビットコインに欠陥があったわけではなく、Mt. Gox(マウントゴックス)の管理体制に問題があった
- NEMの大規模ハッキング被害:NEM自体に欠陥があったわけではなく、NEMを扱っていたCoincheckの管理体制に問題があった
事の詳細を伝えることが困難な場合、表現上誤解を生む文章になってしまう場合もあります。
どのような情報にも当てはまる事ですが、自分自身で詳しく調査する事で真実が理解出来る事がほとんどですので、出来るだけ自分で調査してみるという事は大切です。
もちろん、このような誤解が相場を動かしてしまう事は日常茶飯事ですので、仮想通貨取引を行う上では、真実を知ることと、世間の認識の両方を考慮(ファンダメンタル分析)する必要があります。
イーサリアムクラシック(ETC)の開発企業「ETCDEV」が運営停止

2018年12月4日、イーサリアムクラシック(ETC)の開発企業である「ETCDEV」のツイッターにて、以下の発表がありました。

Unfortunately ETCDEV cannot continue to work in the current situation and has to announce shutdown of our current activities
残念ながら、ETCDEVは現在の状況で仕事を続ける事ができないと私たちの現在の活動のシャットダウンを発表している
引用元:ECTDEV(Twitter)
簡単に言えば、資金繰り困難になり事業が続けられないということですね。
市場の混乱を防ぐため、イーサリアムクラシック(ETC)の開発が即座に“中止”されるというわけでないと思いますが、当面の操業は停止される事になったようです。
やはり、仮想通貨市場全体の価格低迷も大きな要因となっているのではないでしょうか。
「セリクラが来る?」という噂が毎日飛び交うようになり、どのようなコインも驚くほどの下落を見せています。
このタイミングで操業困難に陥る事は、決して不思議なことではありませんが、イーサリアムクラシック(ETC)へ期待をしている人たちにとっても、「ETCDEV」のポリシーに共感していた人たちにとっても、また、仮想通貨取引などで暗号資産(仮想通貨)に関わっている私たちにとっても、大きな衝撃だった事は事実です。
※セリクラについては「仮想通貨取引でよく聞く「セリクラ」ってなに?」で分かりやすく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
イーサリアムクラシックの開発企業、資金繰り難で閉鎖!?〜まとめ〜

イーサリアムクラシック(ETC)のニュースは、暗号資産(仮想通貨)に関わる全ての人に衝撃を与えたのではないでしょうか。
止まらない価格下落や、徐々に厳しくなる法整備に加えて、一つの主要アルトコインが開発困難に陥るという事態は、2017年では考えられない事でした。
これまで、それほど有名ではないアルトコインやICOで発行された独自トークンなど、人知れず消えていったコインは無数にあるはずですが、主要なアルトコインすら淘汰されていく時期に入ったのかも知れません。
今後は、通貨として信頼できるコインや、社会に幅広く利用出来る、有用な仕組みを持つ暗号資産(仮想通貨)といった、一部の暗号資産(仮想通貨)だけが生き残っていくのでしょう。
どの暗号資産(仮想通貨)が生き残り、何が淘汰されていくのかという情報を、個人で取捨選択するのは不可能な状態になるはずです。
何を基準に「信頼性のある情報」を取得するのか、これが仮想通貨取引における肝となりますね。
※ビット先生は現在、信頼性と透明性を兼ね備える情報プラットフォーム「インフルエンサーマーケティングプラットフォーム」のプロジェクトに尽力しています。ぜひ下記の記事も参考にしてください。
※仮想通貨取引所の利用、また仮想通貨取引やICO、暗号資産(仮想通貨)を利用したサービスへの参加については、リスクを伴うことがあります。これらリスクを自分自身でしっかりと把握した上で、無理のない資金で取引を行うことが大切です。自身でリスク管理をしっかりと行いましょう。
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